Quantum of Treks

タダより安いものはない。歩けばそこに報酬(Quantum)あり。

スペインの世界遺産 サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路、DAY1 サンジャンピエドポー→ウント(St-Jean-Pied-de-Port→Hunt)

フランス人の道

スペインには現在50件の世界遺産があり、文化遺産としては、ガウディのサグラダファミリアグラナダアルハンブラ宮殿などがよく知られていますが、このほか世界遺産のタイプとして数少ない街道としての世界遺産、カミーノ・コンポステーラ、カトリックの巡礼路が登録されています。

巡礼路はカトリックの三大聖地とされているサンチャゴ・コンポステーラを中心に放射状にあり、世界遺産として登録されているのは”フランス人の道(カミーノ・フランセス)”780㎞とのスペイン北部の巡礼ルートがあります。

今回、全部ではありませんがフランス人の道を約500㎞歩いたのでご案内します。

バイヨンヌ

フランス人の道の起点は、ピレネーの麓の村サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(以下「サンジャン」)から始まります。では、このサンジャンへ行くにはどうするか。

私の場合、フランス・ビスケー湾の港町でイベリア半島のくびれ部分にあたるバイヨンヌから入りました。バイヨンヌまではパリから夜行バスで、予定が少し遅れて朝8時20分にバス停に到着。駅までは徒歩5分ほど、列車の出発時刻は8時50分で問題なく間に合いました。実はバイヨンヌは歴史的に非常に重要な土地であるようですが、このとおり滞在は30分。

 

バイヨンヌ

クロワッサン

その少しの時間でできたことが、駅の売店で、クロワッサンとチョコレートが入ったデニッシュを購入しました。このクロワッサンが”うまいのなんのって、外はパリっと歯ごたえがあり、なかは柔らかくバターの香りがふわっと広がる。これぞ、クロワッサンという味。まさに味はバターで決まります。その後30日ほどスペインを歩き渡りほぼ毎日クロワッサンを食べるのですが、結果的にこのバイヨンヌ駅のクロワッサンが一番うまかった。

 

落書きは文化か

ヨーロッパを旅行される方は、おそらくいやというほど、見せられるはずですが、パリにしろ、その後歩き回るスペインの巡礼路にしろ、とにかく落書きが多い。下の写真は線路敷の内側ですが、どのタイミングでどう描くのか。さらにその下は列車車両の側面にどでかく描いている。これだからバンクシーの文化が芽生えるのでしょう。

線路敷き内の落書き

車両の落書き

 

サンジャンの駅に到着

バイヨンヌから1時間ほどサンジャンの駅に到着しました。

乗客は巡礼者がほとんど

駅を出るとすぐ以下のモニュメントが迎えてくれます。巡礼のはじまりです。

サンジャン駅前の巡礼者を模したモニュメント

巡礼事務所

巡礼は、”これから巡礼をはじめるよ”、という宣言が必要です。そこで、まず巡礼事務所(Pilgrim Information Office)でそれを証してもらいます。場所はサンジャンの中心のシタデル通りの中ほどにあります。ここでクレデンシャル(巡礼手帳)を購入し、スタンプを押印、日付を記入してもらいます。(なお、クレデンシャルはNPO法人日本カミーノ・デ・サンチャゴ友の会CAMINO | 日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会 (camino-de-santiago.jpからも購入できます。)また、ここで資料を提供してもらいます。

資料とは、①サンジャンの簡単な地図。実はサンジャンから正しいルートに乗るためには、数か所の少しわかりにくい交差点を通過します。ここで間違うと住宅街にいく場合もあります。②カミーノフランシス沿いのアルベルゲ(宿泊施設)のリスト。事前に宿を予約しなかった私にとって大変役に立った。③主要宿場間の標高や距離を示した資料。

巡礼事務所。ボランティアで運営されている。

シタデル通りは巡礼グッズの店、土産物屋やホテルがずらりと並んでいます。

ストック、雨具、トレッキングシューズなどが売っている。

ノートルダムゲイト前に巡礼者が集まる。

シタデル通りとエスパーニャ通りを結ぶ橋から。

サンドイッチ

ちょうどお昼ころ、シタデル通りの延長沿いのエスパーニャ通りに生ハム店がありました。そこにサンドイッチ6€とあるので、少し張るなと思いつつ、注文することにしました。出てきたものの体裁はバケットでした。半分にきった(であろう)バケットに縦に切り込みを入れ、イベリコの生ハムとスライスチーズが入っている。これだけ。

バケットについては、”本場のバケットはホントおいしいんでびっくりしました。”などと、フランス帰りの方々が申すのを聞く。”ふーん”と思い起こしながらかじると、バケットバケットです。堅いし、パサパサだし、食べるほど口の水分を持っていかれる。これから歩き回らないかんのに、どう水分を補給していいやら。

また、中の生ハムが切れない。どうも二枚だか三枚だか入っているようだが、一口、口に入れようとすると嚙み切れず、つるっと一枚全部ついてくる。

スライスチーズ、日本のよくあるスライスチーズみたいに柔らかく、すっと口に収まるものではない。歯にあてるとぽろぽろ崩れる。

要はこのサンドイッチ、三っつの食材の食感がみんな違う。日本のサンドイッチならひと噛みですべて口におさまるところが、三つがばらばら、しかも野菜なし。6€、約千円。

イベリコ豚の生ハムショップ。看板にはサンドイッチの表記

サンジャンに宿が多数あるので、多くの巡礼者(pilgrim:ちなみに、メイフラワー号でアメリカ大陸に渡ったピューリタンたちをピルグリム・ファーザーズといいます。)は、巡礼前夜においてサンジャンに宿泊するようです。

ですが、次の宿泊地のロンセスバージェスまで約25㎞、そこそこある。また、フランスからスペインをまたぐ、つまりピレネー山脈の一部を超える。という状況から私は恐れおののき、この距離を少しでも短くすべく、ルート上の5㎞先の宿をとりました。

そこが”ウント(Hunt)”です。

ウントのホテル Fermu Ithurburia