出発は午前5時
ブエノスアイレスからアルゼンチン側のイグアスの街、プエルトイグアスに行く便の出発時刻は午前5時25分。宿に泊まるとうまく空港に着けるかわからないので、この日は空港泊。
ブエノスアイレスの宿からエセイサ(EZE)ブエノスアイレス空港に到着したのが午後6時、よって空港で約11時間、この間ベンチでうつらうつらしたり、飲み物をのんだり、立ったり座ったりを繰りかえし過ごす。
予定通りの飛行機でイグアスの空港に着いたのが午前7時15分、街までの相乗りのミニバスを申込んだ。
ミニバスは同乗者をそれぞれのホテルで降ろし、同乗者がほぼいなくなる終わりころ漸くわが宿に到着。
宿にはお昼前に着いた。特にアクティビティの予定も入れていなかったため、いささか時間的余裕が生じた。
そこで、宿の近くにある代理店に飛び込み、これからいけるツアーはないかとあたってみた。そこで提案されたのが、”モココ”というアトラクション。
どうも、ボートに乗って滝を鑑賞するというが、それ以上の予備知識がなく参加することにした。
ツアーにこみこみのハイヤーでブラジル側の施設の前まで連れて行ってもらい、ここからは一人で行動。
まず入場口前の券売機で施設入場料95米ドルをカードで支払う。
天然の産物でありながら95米ドルは結構な額だなあと思いながら、だからといって森のわきからすり抜けるわけにいかない。しょうがない。
”モココ”ツアー
入場ゲートをくぐり、スタッフに「モココツアーに参加する」と伝えるとシャトルバスに乗り2つ目のストップで降りるように言われた。
バスを降りると左手に売店、右手にチケット売り場とその背後にツアーゲートがある。
ゲートを通る前に軽く売店を覗くとぬいぐるみやら、バッジにカッパなどが置いてあった。
ゲートをくぐると屋根と骨組みだけの客室のバスに乗せられた。バスは曲がりくねった森の中の道をゆっくり10分ほど走ると、ジープのような車が待機、ここで乗客を2つに分け乗り換えさらに進むこと5分、客十数人が並ぶ施設がみえた。
この施設は斜行エレベーターで30mほどの落差と結構な角度がある。
このさきに小さな桟橋と複数のボートがあった。
ここまで来てふとまわりの人たちを見渡すと、多くの方がかなり軽装である。いや、軽装というより、ほぼ水着のような人もいる。あわせて足元はサンダル履き。
なかには安物の透明のポンチョをかぶった人もいる。さっきの売店に売ってあった。
”まてよ、これはやばい。相当濡れるのか!”リュックは防水だ。あわてて手持ちの荷物をリュックに詰め込んだ。
指示に従いライフベストを着用する。
ボートは船外機付き、6列で1列に4人乗り込み、前から2列目の右端に座った。
ボートは出だしこそ、じわっとした速度であったが直ぐにスピード全開で川の波をたたき前後左右に揺れ出す。
しかし、それほどの水をかぶるという程度ではない。
乗客の何人かはスマホをかざし録画している。ここまでは、余裕であった。
ここで思い出したのが、ここはイグアスの滝でも有名な悪魔の喉笛(Devil's throat)と呼ばれている場所。
ボートはその喉笛にじわじわ近づきだした。
巨大な滝が、目の前に。
滝が壁になった。
え、と思った瞬間、ボートは滝に突っ込んだ。
巨大な水の塊が落ちてくる。息ができない。
何秒だったのか、ボートは一度滝から離れる。
呼吸を整えると、間髪を入れず、また滝に突っ込む。
今度は水を浴びながら考える余裕ができた。
”ああ、腰のミニバッグをリュックに入れればよかった。”
お札とパスポートを入れていた。もう、遅い。
他の乗客は、きゃあきゃあ言って楽しんでいた。
確かにこれは面白い。しかし、もう少し事前説明が欲しかった。
(上の動画はアトラクションの肝が撮れていません。)
アトラクションが終わり来たとおりの道をもどり、売店付近についたところで、靴を脱ぎ、靴下を脱いだ。靴下を絞ると滝のような水がでた。
やむなく売店でサンダルを買った。
その後、シャトルバスに乗り、ルートの奥にある観賞場所に行くが、慣れないサンダルが指のはざまに食い込んで痛い。この日はここまで、ハイヤーを呼んだ。
イグアスの気候は乾燥気味で、靴を宿のベランダに干していたらなんとか夕方までに履けるまでに乾いてくれた。
パスポートはさすが日本政府の作品。ページをゆっくり開くと全て破けずに開くことができた。しかし、プラスチックの表紙はへろへろになった。
入場料は別料金
次の日は事前に予約していた、「イグアスツアーアルゼンチン、ブラジルの両サイド」(Full Day Iguassu Falls Both Sides - Brazil and Argentina)である。
ピックアップは朝8時20分、少し早いが宿泊しているホステルまで来てくれる。
ガイドの車は想定時刻より少し遅れ、私と同じ宿の参加者M氏を乗せたところでメンバーが揃った。
リタイヤ組で60を超えているだろうと思われるアメリカ人夫婦。70近いのでは思われるソロの女性。30前くらいのワシントン出身のM氏と当方。総勢5名であった。
ガイド兼ドライバーはロベルト、アラフィフの気のいいオヤジである。
ロベルトは、初めにアルゼンチンサイドに向かうが。入場券は持っているかと聞く。前日もそうであったが、ツアー代金に入場料は含まれていない。
私とM氏は持っておらず、また見合う現金もない。ロベルトは、では、これから街のATMで現金をおろそうと言う。やむなく近くのATMへ行くが、このATMでも数名並んでいて先に進まない。徒に時間が経つばかり。
そうこうしているうちに参加者のアメリカ人が、スマホで登録すればクレジットカードを使い購入できるはず、と提案され、これに挑むことにした。
現地に向かう車内で、スマホでアルゼンチンのイグアス施設サイトに接続。アカウントを設定しようとするが、項目はスペイン語、大方見当がつくが、不明な項目がある。この単語はなんだ、となりのM氏にうかがうがどうも違う。すると前列のアメリカ人ペアの奥様が元スペイン語教師という。ご指導を受けるとなんとか項目が埋まった。知恵を寄せれば何とかなるものである。
そして、クレジットカード情報の入力。車が移動している間、電波が途切れたらまた最初からか、そんなことを心配しながら、揺れる車で目をこらし入力すると、なんとかコンプリート。
アルゼンチンサイドの施設手前でサイトから入場券を購入できた。
はぐれないよう
施設へは参加者5名とロベルトが入場し、ところどころロベルトが解説を加えてくれる。よく考えれば、この6名は同じ車で来たので、同じ行動をしないと、この後帰り着かない。全員はぐれないようにしなければ。
そこは、ロベルトには想定内である。手にはすこし奇妙な音をたてる笛を持っていた。はぐれそうになると笛をふくからと言う。なるほど。
また、このようなツアー団体用に用意された、共通の番号が入ったバッジを渡された。片面がアルゼンチンサイド、その裏がブラジルサイドの番号である。
入場ゲートを入ってすぐ売店があった。メンバーはさっそく水やコーラなどを購入する。メンバーは5人だが、それぞれが嗜好があり微妙にタイミングがずれる。
売店を出てルートに沿ってイグアスフォールのポイントに行きそれぞれが写真を撮ったり、浸ったり、時になかなか現場を惜しんで離れられない人も、そんなとき約束の笛をロベルトが吹く。
それでも一本道のルートのなかとは言え、周囲は他の客でぎっしり、少し目を離すとメンバー同士が離れわからなくなる。しょうがないので私は彼らの中間あたりに陣取ることにした。
イグアスフォールは、さまざま顔をもっている。落差が高く、幅も広いごう音を立てる滝、遠目にみてであるが細い滝が横に連なった滝。すこし奥まったところには滝行に使えそうな小ぶりの滝もある。
ルートは幅2mくらいで床面は網状の錆に強いステンレス製。よって床下が透けて見える。
この通路が、一部では滝の肩をなぞるように、一部では川をまたぎ、一部では川の中心に向かいせり出している。滝をより近くで味わえるよう配置されている。
土台は鉄筋の入ったコンクリートで、もちろん揺らぐこともないのだが、ポジションによっては水をかぶるよう設計されているところもある。
川の中には流れが抑えられたたまり場、ワンドもあるようで、川をまたぐ通路を見下ろすと1mは超える大きな魚が2匹水面にいた。キャットフィッシュ、ナマズであった。
木々が多くなるころ、アルゼンチンサイドのルートが終わり、この先に売店があった。
ロベルトはここで時間を決め休憩とした。
その隣には園内のトロッコ列車がありこれに乗る予定だ。
しかし、メンバーの70くらいのおばちゃんが帰ってこない。
すこしして、おばちゃんが手にアイスをもってふらっと現れた。
アイスを買うのに相当並んだらしかった。
トロッコ列車は、アルゼンチンサイドの出口にあるレストランの前まで運んでくれた。
ここで、昼食となった。
ブラジルサイド
次はブラジルサイドである。
車に乗り込み、国境を越えたところで、アメリカ人のご夫婦が車を降り、待機していた別の車に乗り換えた。
メンバーは3名となった。
ブラジルサイドは前日行ったばかりだったが、幾分足りないところがあった。再度入場。
ゲートをくぐるとロベルトは3名で自由に廻ってくれと言う。少し不安に感じながらも3名なのでなんとかなるだろうと、鑑賞コースに沿って歩くことにした。
3名であるが、どうもおばちゃんがマイペースである。ちょっと、眼を離すといなくなる。
蝶が好きなM氏は、近くに寄ってくる蝶を見つけるとカメラを向けだす。
しょうがない、私は出来るだけ両名の間にいるようにした。
ブラジルサイドのイグアスフォールには、ここの主役的存在の滝つぼのすぐ前に鑑賞デッキが張り出している。
ここに行かずしてどうする。
M氏もすでにここに向けて歩き始めている。
通路の少し前から、水しぶきが迫り出し、歩を進めるたび浴びる量が増えだす。
この日は天気がよく日差しが強い。通路の中ほどではしぶきを受ける中、小ぶりの虹がかかっていた。
虹をバックにM氏を撮影し、通路の先端のデッキへ行った。
デッキで暫くしぶきを浴び、引き返すと気が付いた。
おばちゃんはどこ。
通路の上の方にロベルトがいて、おばちゃんも一緒だった。
イグアスの周辺には人になれた野生動物もいて、猿やアライグマの仲間のコアティスという動物もいました。
ガイドからは、決してエサなどを与えないようにと言われ、施設内にもその旨看板がありました。
大き目のトカゲもいました。