フランスのウントからスペインに入って最初の宿場町ロンセスバージェスまでは約20㎞、800m登り、400m下ります。
スペイン語でエル(L)を二つ重ねた時の発音は、英語のエルの発音の場合とジェイの発音の場合があります。おなじみのパエリャはパエジャとも発音します。というよりパエジャのほうが通じる気がします。wikipediaではロンセスバージェスはロンセスバーリェスと記載されています。
放牧地帯
ウントからロンセスバージェス間の巡礼路には家畜を放牧しているところが多く、羊、牛、馬がよく見られます。
ですので、巡礼路はいたるところにサッカーボールくらいの牛や羊のふんがごろごろしています。もちろん道に落ちているものを掃除する人がいるわけでなく、空気は乾燥しているし、一度発生したブツは増える一方というところでしょうか。
大方の放牧場がそうであるように、ここら一帯は独特の尿素を含んだような臭いがたちこめています。ですが、危害があるわけでなく、遠くから聞こえる鳴き声とともに、疲れた足にそんなに急がなくていいよ、と声をかけられているような風景でありました。
フードトラック
国境を超える手前の絶妙な場所で飲み物やバナナなどを販売していました。
給水所
どこから湧いているのかよく分かりませんが、飲料水との位置づけのようでガイドマップにも記載されています。
国境近くの避難小屋(IZANDORREは地名)
Slug
日本で暑い日に田んぼや花壇のわきの道路上に干からびたミミズを見ることがありますが、ここ巡礼路では道筋上にうんこのような黒い物体を多数みることとなりました。
表題はあえて英語で書きましたが要するにナメクジです。一見してそれこそ人が作り上げるうんこに似ていて、「巡礼者だからといって野糞するのも場所を弁えてよ!、ちょっと何喰ったらこんな黒いもんでるの。食いもん悪くねー!!」と言いたくなる物体です。
しかしこれに軽く刺激を加えてやると、あら不思議、進行方向に二本の角を出し、ゆっくり動き出します。長さ20㎝、太さ3㎝くらいあります。
ロンセスバージェスのアルベルゲ
アルベルゲは森を抜けたところに、突然現れました。
到着したのは13時半くらいだったでしょうか。早速、チェックインしたいと思いフロントに向かうと、巡礼者同士がたむろしています。
彼らのひとりが”After two o'clock(2時からだそう)”と言う。すると奥からいい体格の一見して巡礼者でないおばさまが”いっぷくさせてくれない”と煙草を手に言う。こっちもそこそこ疲れてるのにと思いながらも、さっそく、スペイン流儀を味わいました。
アルベルゲにはこのおばさん以外に数名のボランティアの補助員がいて巡礼者に施設の案内を行っていました。巡礼という聖なる行いはボランティアの支えで成り立っているのです。
ロンセスバージェスのアルベルゲ
チェックインの際に夕食はどうするかと問われ、ディナーをプラスしました。ディナーは7時から、その間、隣接の教会を覗きました。教会の奥にはナバラ王サンチョ7世の墓所があります。墓所は有料です。
ディナー
ディナー会場は、宿泊所とは別棟のレストランで、丸テーブルが5つほど、私は9人掛けのテーブルに案内され、左隣に韓国人、右に50代くらいのフランス人男性、対面に4人のアイルランドのおばさまグループと、国籍不詳の英語圏と思われる若いカップルがいました。
このカップルの男性はベジタリアンで、最初に出されたスープこそ飲んでいましたが、メイン料理の肉または魚は最初から注文せず、またデザートはアイスクリームまたはヨーグルトでしたが、”このひとメインとデザートは食べれないです。”、と隣の若い女性がチキンを食べながらニコニコして他人事のように説明していました。
テーブルでは、どこの国からだの、これからどこまで行く予定か、といった話題から入りますが、インターナショナルなテーブルなので基本英語で会話します。
わたしは英会話が得意というわけではないので、おおかた聞く側に徹し、ときどき分かったような顔でおおきくうなずいたりしていましたが、しかし、この面子で以外についていけないのがフランス人で、結構苦心していました。
スペインを移動したひと月ほどの間に、おそらく20ほどの国籍の方々と会話しましたが、英語がちっとも話せない。スペイン語も話せない、という方もいて、なんとかなるもんだと思った次第です。