Quantum of Treks

タダより安いものはない。歩けばそこに報酬(Quantum)あり。

造幣さいたま博物館(R5 7月)

造幣局は大阪の本局、さいたま支局、広島支局の3か所。今回はさいたま支局の博物館です。さいたま新都心駅から商業施設のCOCOONを抜けて徒歩5分ほど、平成27年に池袋サンシャインシティの隣から移転したまだ真新しさを感じる施設です。入場料無料。

造幣さいたま博物館



事前申し込みで90分ほどのツアーを行ってくれます。

まず、1871年の創業から150年を超えた事業の足跡を伝える15分ほどのビデオから始まります。

工場見学

つぎに、工場内の見学。1階から3階まで。これらは禁撮影です。

貨幣づくりは金属の溶解から始まりますが、これは他部署にまかせ、さいたまでは型ぬきする円形(えんぎょう)となるところから始まります。

500円玉の山

一連の行程を経て出来上がった500円玉がゲームセンターの山崩しのコインのように無造作に箱に入れられ、3300万円と書かれています。”1枚も差がないんですか”と聞くと、”1枚もありません”と、きっぱり。

プルーフ貨幣

さいたま支局では現在発行、流通されている貨幣のプルーフ貨幣を作成していますが、これが通常財布におさまるものと違い、かなり丁寧な工程を経ます。洗浄して、直径1㎜程度のステンレスボールで磨き上げ、最後にさび止め剤を裏表吹付、これを乾かす。出来た6枚はぴかぴかです。箱詰めも位置にずれがないか機械で確認後最後は人の目で確認する。

勲章の作成。

現在勲章は22種類、そのうちさいたま支局で3種を作成。

勲章は、金属の型抜きから始まり、余分な部分を削り、形成、色を付けるところに七宝材を塗り付け、窯で焼く、1回では色付けが薄いのでこれを3度繰り返し、出来たものに気泡などないか確認し調整するという過程を経ます。当日は、最後の行程でしょうか、職員がルーペでのぞきこむ作業を行っていました。

略章

勲章の3分の一程度の大きさの略章がそばに展示されていますが、これは受賞者の希望者に販売するそうです。5万円ほど。”現物をぶら下げると自慢に見えるからね”と解説の方。

 

工場見学後、博物館に入ります。

縮彫機

かつての硬貨は直径で10倍くらいの型を作り、これを写真の縮彫機にかけ実際の型を作ったのだそうです。仕組みは”かぎ”のスペアを作るとき現物をトレースしてこれにあうように削っていきますが、縮彫機は巨大な型を縮小しながら削り出すという機械。いわば3Dプリンターのようなもの。よく出来ています。

縮彫機

直径が10倍くらいの100円玉の型

新500円

新機能がさらに増えました。

1.中心と外側と別(色)の金属を使っている。説明をよく見ると中心部分は別の金属をサンドしています。

2.不規則なギザ。上下左右はギザの間隔を変えています。

ちなみにギザはかつては10円玉にもありましたが、最高額の硬貨に付けるのが約束。そのため100円玉の登場とともに10円玉からは消えました。

3.上下左右の縁に”500YEN”と”JAPAN”が記されています。

イカラーの新500円硬貨

大勲位

贈られたのは吉田茂佐藤栄作中曽根康弘、そして安倍晋三。すべて遺贈。

現在本人がかけられるのは、今上天皇だけです。現物が展示されていますが禁撮影です。

 

2020のオリンピックメダル

日本で開催された、東京、札幌、長野、東京すべての金銀銅のメダルが飾られています。そのなかでとりわけでかいのが2020の東京オリンピックのメダル。重さも500グラムを超えます。くびからペットボトルを下げているようなもの。しかし、金含有量は6グラム以上。というより6グラム。IOCで決められているそうです。

2020東京オリンピックのメダル

大判小判のコレクション

大判、小判の本物が透明のアクリルのケースに空中に浮いているかのように飾られれています。古いもので慶長大判、それから年代を経るに従い小型化し金の含有率も減っていきます。インフレを如実に体現しています。近代国家となってからも政府は金貨を作っていますが、最後の金貨はほぼほぼ海外に流出したそうです。ニクソンショックが示すように、金兌換という経済システムに無理があるということです。

慶長大判など

令和2年の1円玉の発行枚数は528枚?

単位が千枚でした。消費税導入の平成元年が1,269,042千枚ですので、それこそ隔世の感があります。おおむね平成23年からこのような数字が続いており、令和に入ってからはほぼ流通しておらず、プルーフセットのために製造しています。ということで令和の1円玉は超貴重です。クイズ作家が好きそうな話題です。最近、アメリカで嫌いな部下に給与をすべて1セント硬貨で、しかも自宅の庭先に小山にして支払った。ということがありネットで話題になりましたが、日本では、硬貨は20枚以上での支払いは受け取りは拒否できるとされているので概ねこのようなことは起こりません。ですので、硬貨を大量に所有すると面倒なことばかり、製造が減るわけです。

 

売店

超貴重な1円玉が入ったプルーフセットや、おきまりのまんじゅうなどが販売されています。

プルーフセット(売店で)